「即位礼正殿の儀」と合わせて行われるよいう「恩赦」。

一体「恩赦」とは何なのか、できるだけわかりやすく1つずつ解説していきます。

また2019年の「恩赦」では「復権」のみということで…。

対象者や通知などはあるのでしょうか。

今回は「恩赦」について解説していきます。

 

 

 

恩赦とは?

ほとんどの人が耳にしたことがある恩赦ですが、具体的にどのようなことなのかを説明していきます。

まず恩赦というのは、日本固有のものではなく世界で行われているもので英語ではPaedonと言います。

意味は行政権または立法権により、国家の刑罰権の全部または一部を消滅、もしくは軽減させることで赦免復権とも言われています。

日本では行政権によって国の刑罰権を消滅、裁判の内容を変更、裁判の効力を変更もしくは消滅させることの4つであると定義されています。

ざっくり簡単にいうと、恩赦によって刑罰が軽減されるということですね。

恩赦の種類はいくつかに分かれていて、大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除・復権があります。

日本での恩赦の対象になる人の区分には、政令恩赦個別恩赦があります。

恩赦は日本国憲法に定められていて恩赦の決定は内閣が行い、恩赦の認証は天皇の国事行為として行われます。

国事行事というのは、天皇が行うものとして規定されている行為で、内閣の助言と承認が必要で内閣がその責任を負うものとされています。

古くは奈良時代から恩赦が行われていたとされています。

近代史の日本では、明治時代の恩赦は大正天皇崩御や昭和天皇即位、戦後は第二次世界大戦終局や日本国憲法配布、国連加盟や沖縄復帰の際に行われています。

対象規模はその時によって違いますし、昭和天皇崩御の際には死刑囚への恩赦は行われませんでした。

今回実施される恩赦は復権のみとされています。

個別恩赦とは?

恩赦の対象者となる人の実施方法は2つに分かれていて、そのうちの1つに個別恩赦があります。

個別恩赦とは、個別に審査して実施されるもので、特別基準恩赦と常時恩赦の2種類あります。

一口に恩赦といってもかなり細かく分類されています。

個別恩赦は特定の人に対して、個別に審査を行い特赦・減刑・刑の執行の免除・復権を行うことが出来ます。

個別恩赦を審査してもらうための手続きは、まず中央更生保護審査会に対して恩赦の上申をします。

中央更生保護審査会は、法務省の審議会の1つで更生保護法に基づき設置されています。

主に恩赦の実施に関する法務大臣への申し出や仮釈放の審査を行う機関です。

中央更生保護審査会の審査で恩赦が相当と判断された場合に法務大臣に申し出を行い実施されます。

この個別恩赦の中でさらに常時恩赦特別基準恩赦があります。

常時恩赦は名前の通り常時行われている恩赦で、特別基準恩赦は政令恩赦の適用から漏れた人を救済する目的や個別恩赦を活発に行う目的で実施されます。

内閣が閣議決定で定める基準によって一定の期間を限って行われます。

特別恩赦は多くは政令恩赦と同時に実施されますが、政令恩赦と関係なく行われる場合もあります。

政令恩赦とは?

恩赦の対象者となる人の実施方法の1つは個別恩赦で、もう1つは政令恩赦となっています。

政令恩赦は一般恩赦ともいわれていて、政令によって一律に行われる恩赦のことを言います。

政令恩赦の内容は大赦・減刑・復権になります。

政令恩赦は戦前には勅令恩赦と言われていました。

政令恩赦は主に国家の慶弔時に際して実施されています。

恩赦の定義に「裁判の効力を変更若しくは消滅させること」とあり、昭和天皇の病状が重篤だった時に政令恩赦で死刑を免れるとし、控訴や上告を取り下げる被告人が少なからず存在しました。

ただ昭和天皇崩御の際に、懲役受刑者や禁錮受刑者、死刑確定者に対する恩赦は一切行われず、上皇御即位恩赦で復権の対象者は約250万人、今上天皇(皇太子殿下)御成婚恩赦では政令恩赦は行われておらず、特別基準恩赦のみが行われました。

当初は政令恩赦の実施も検討されていたようですが、恩赦の対象者が公職選挙法違反者を大量に救済することになることから、政令恩赦ではなく政治恩赦と批判される懸念があったため、政令恩赦は見送られたそうです。

 

 

 

なぜ恩赦が必要なのか?

なぜ恩赦が必要なんでしょうか。

国立国会図書館に保管されている「国立国会図書館 調査及び立法考査局 行政法務課 小沢春希」が書いている調査と情報 No.1027(2018.12.6)の「恩赦制度の概要」によると…。

恩赦の存在理由は、昭和23年に恩赦制度審議会が答申した最終意見書の内容として「法の画一性に基づく具体的不妥当の矯正、事情の変更による裁判の事後的変更、他の方法をもってしては救い得ない誤判の救済、有罪の言渡しを受けた者の事後の行状等に基づく刑事政策的な裁判の変更または資格回復」が挙げられています。

法務省では恩赦の役割で最も重要なものは「罪を犯した人たちの改善更生の状況などを見て、刑事政策的に裁判の内容や効力を変更すること」としています。

恩赦法が定まられた当時は、昭和22年法律第20号で恩赦法施行規則は昭和22年司法省令第78号となっているので、時代的に裁判の誤判の可能性も高かったことも恩赦の必要性に関係していると思います。

 

 

 

「復権」の対象者は?

恩赦の4つの種類のうち、最も実施されているのが復権になります。

復権は有罪を受けたため、資格を喪失または停止された者に対して資格を回復します。

前科により資格を喪失または停止されていることが、社会的活動の障害になっている場合に回復させ社会復帰を促進するために用いられるものです。

一例として罰金刑を受けると原則として医師や看護師などの国家資格を取得する権利が5年間制限されますが、恩赦により権利が回復します。

罰金刑としては恩赦の対象者の8割が道路交通法や自動車運転処罰法などの違反を犯している人や公職選挙法違反の人も罰金刑が課せられます。

今回の政令恩赦では2016年10月21日までに罰金を納めた約55万人が対象となり、公職選挙法違反による罰金納付から3年が経過した約430人の公民権も今回の恩赦で回復します。

法務省のホームページには、今回の恩赦で復権令及び即位の礼に当たり行う特別恩赦基準が掲載されています。

恩赦を受けると通知はある?

政令恩赦は一律に行われるので、特に恩赦を受ける通知はありません。

対象者が約55万人もいるので、個別に通知などをしていられないですよね。

一方で個別恩赦では通知があります。

法務大臣が中央更生保護審査会を通じて、有罪の言渡しをした裁判所に対応する検察庁の検察官に復権状等(恩赦の種類により異なります。種類が多数あるので恩赦状と書いていきます)を送付させます。

恩赦状の送付を受けた検察官は自ら上申したものであれば本人に、そうでない場合は上申をした者に送付し本人以外の上申だった場合は直ちに本人へ交付しなければなりません。

さらに恩赦状を本人に交付した者は、速やかに交付した旨を法務大臣に報告しなければなりません。

一口に恩赦を受けるといっても黙っていては恩赦を受けたことを公的に認定されないようで…。

個別に通知がこない政令恩赦の場合でも、復権を得た者は有罪の言渡しをした裁判所に対応する検察庁の検察官に申し出て証明を受けることが出来ます。

これらの手続き方法は恩赦法施行規則で細かく決められていて。条文通りに手続きをしていかなければならないようです。